こちらのブログ(http://d.hatena.ne.jp/andoh3/20120122)に感想を書いたので、転載しておきます。 ◇木曜日は映画版『ヒミズ』を観てきた。今回の映画化によって気がついたのだけれども、『ヒミズ』という作品は、今後も様々な人によって再解釈されていくの…
どうしても今回の一件にあたって、やはり僕は古谷実抜きで考えることはできません。よって、超ひさびさにこちらのブログを更新します。 今回の一件というのは、いうまでもなく2011年3月11日に起きた大地震・大津波、そしてそれによって起きた福島原発事故、…
お知らせするのもいまさらな感じしますが、一応こっちでブログも書いてます→id:andoh3。 古谷実に関してまとまったものは「増版」で書いていこうと思ってまして、「日々:文音体触」の方が更新頻度は高くなっております。 ではでは。
とにかく様子見なことは確か。てか、今回は「主人公を全肯定する女の子が出てこない説」に一票。 これまでの古谷実作品をががが〜っとおさらいしちゃうと、まず大前提として「何を信じればいいかわかりません」みたいな状況があったと。 デビュー作『行け!…
1.93年当時のギャグマンガ状況(吉田戦車以降「非・常識」ナンセンスギャグの台頭 参考:『爆心地の芸術』) 2.交換不可能な自分への徹底的な懐疑(交換可能な自分に絶望することのおこがましさ 参考:『完全自殺マニュアル』) 3.『稲中』がギャグと…
◇交換不可能な自分との邂逅 では、満ち足りた状態であれば与えることができるのだろうか。それが『僕といっしょ』3巻において、イトキンと村田マリコのエピソードに描かれている。 『僕といっしょ』3巻では、主人公の一人であるイトキンという14歳の少年が…
古谷実の作品には、常に「孤独」が描かれる。主人公たちが、ほとんど執拗と思われるほどの誠実さを持ち合わせているのは、彼らが孤独に心底怯えているいるからである。孤独を恐れ、そこから逃れることを考えてきた結果が、いってみれば求道者としての古谷作…
古谷実の作品には、常に「孤独」が描かれる。主人公たちが、ほとんど執拗と思われるほどの誠実さを持ち合わせているのは、彼らが孤独の恐ろしさを知っているからである。孤独を恐れ、そこから逃れることを考えてきた結果が、いってみれば求道者としての彼ら…
肥大した自意識2 「肥大した自意識」という衣服を纏うことを忌み嫌いながらも、すっぱだかの自分を直視できない彼らは、誰かにすっぱだかの自分を見てもらい、且つまるごと受け入れてもらうことを願う。古谷作品における「恋愛」は、基本的にどれもそのよう…
真実をもとめるシニカル系過激派組織 例えば90年代的な笑いってどんなだったろうと考えたとき、真っ先に浮かぶキーワードは、“嘲笑”かもしれない。もはや「愛」やら「真実」やら「夢」やらといった言葉がリアリティを欠き、そうした「大文字」は口にするのも…
「孤独」を意識せざるを得なくなってしまうような「運命」によって、積極的に何かを「希望」したり「信仰」することを恐れ、だったら自分が「希望」「信仰」の対象になることを願い、しかし「孤独」であるがゆえの全能感をも捨て去る気概もない・・・。 『僕…
えっと、こないだのLifeでcharlieが言ってることはよくわからないのだけれども(詳しくはこっちのブログに書きました→http://d.hatena.ne.jp/andoh3/20080110)、古谷実作品『僕といっしょ』の中に村田マリコっていう、それこそヤンデレが居るので、そのこと…
『文化系トークラジオLife』「しょうらいのゆめ」外伝2はコチラから →http://www.tbsradio.jp/life/2007/11/part82_2.html 「夢」と「普通さ」って、ホントは全然別物だよねって話(最後の佐々木さんの発言)。 『世界最速のインディアン』っていう映画を思…
結論からいえば、『シガテラ』以降の古谷作品として、新たな発見とか前進とかはなかったと思う。ただ、それは怠慢とかそういったことでは全然なくて、誠実な姿勢を持って悩んでいる古谷実の姿がそのまま作品の迷走として反映されていた、ということだったの…
いきなりな気がして驚いてしまった。考えたら4巻で終了ってのは『僕といっしょ』『ヒミズ』と同じなわけで、古谷作品としては普通。 まあそんな話はどうでもよくて、今回の作品、ここで終わるってのは、正直「折れた感」は否めないと思います。折れたからど…
文化系トークラジオLifeがこの間「友達」をテーマにしたので(→http://www.tbsradio.jp/life/20070422/)、古谷実の『わにとかげぎす』について何かヒントをと思い、メールを送ってみました。 古谷実に特化した内容だったので読んでもらえるか心配でしたが、…
文化系トークラジオLifeの今週のテーマが「友達」(→http://www.tbsradio.jp/life/20070422/)ということで、『わにとかげぎす』の主人公富岡君が友達を求めるゆえんを探るためにも、今回は必聴。 孤独を恐れていた『稲中』『僕といっしょ』『グリーンヒル』か…
古谷実作品の主人公には、自意識過剰という大きな特徴があります。しかし連載中の『わにとかげぎす』では、主人公富岡君の自意識が薄くなってきています。冒頭部分には少しだけ「呪い」なる自意識が見え隠れする場面がありますが、設定が32歳ということもあ…
この曲を久しぶりに聞いたら、実はとてつもない諦めの境地を語っていることに気づいてしまった。 スチャダラパー『彼方からの手紙』 そもそも人種差別体験を元に「自分たち」を歌うことでアイデンティティを確立してきたヒップホップは、アメリカのヒスパニ…
↑↑ 訳あって発表ができなかったので、その際の原稿をアップします。 元ネタとして、宮台真司さんのblogをご参照ください→http://www.miyadai.com/index.php?itemid=357。 「あるはずのないもの」を「あるかのように振舞う」のは、「ここではないどこか」の真…
・西欧近代と「江戸近代」 僕(←呉智英さんの著作に賛同することが多い)は、封建社会を成功させていた江戸社会は、西欧近代と対照的に、「江戸近代」と呼んだっていいんじゃないかと思っている。産業革命が始まるころのロンドンと人口多い都市だったっての…
今日は前述の授業で発表があったので、その際に調べたことをいくつか挙げようと思います。 自意識の二段階構造 古谷実の誠実さがよくわかる部分です。稲中の6巻「不美人」のエピソードでは、勘違いなブスの自意識過剰を描きながら、実は自分もそういった自…
学校の授業で、伊藤整の文章を読んで驚愕したので、久しぶりにブログを更新します。 「近代日本における「愛」の虚偽」というタイトルの論考なんですが、「愛」という言葉の不自然さの指摘として、伊藤整が着眼したのはキリスト教的な神の有無でした。 愛は…
ついに発売されました。表紙はキングクリムゾンみたいな表紙(!)です。気になる回を単発でピックアップしてこのブログも更新されていたわけですが、単行本で読むと、そのときには見えにくかったものがクリアに見えて、あらためてなるほどなあと思ったりしま…
「ぼのぼの」の作者によるかなりの力作。あえて「ぼのぼの」を強調したいんですが、そのイメージで見ると、ジャンルとしてはホラーに位置づけられる作品のはずなのに「ああ、これってぼのぼのっぽいなあ」って思えてきます。そう考えると「ぼのぼの」がおそ…
古谷実氏の尊敬する望月峯太郎氏の超名作、ドラゴンヘッドをこの間読み返していました。やっぱりいつ読んでもこの閉塞感はものすごいです。トンネルを出た後でも、息苦しい闇は続きます。 あ、これ以降ネタバレするかもしれませんが、未読の方、あしからず。…
タイトルはおそらく、ここでもよく取り上げられる「僕といっしょ」の中の台詞から。「ホアンホアン」はパンダではなく、主人公の切実な、でも端から見れば滑稽な不安を指しています。 主人公は、常にこの社会から疎外感を感じていて、ひねくれて物を見るくせ…
雨川くんの惚れた女性、ヤクザにレイプされたとかで弱み握られて、無理矢理そのヤクザの愛人にされているということが前回判明。その女性がヤクザの手から逃れるために、ヤクザの部屋に保管されている金庫(雨川くんの好きな女性を含む、多くの被害者のレイ…
だ・・・・だけどね・・・さすがにこんな男でも最近よーやく“これじゃダメだな”“これじゃその辺の石コロ大して変わらない生涯だな!”と思うようになって・・・・変わろうと決意したんです!孤独を罪ととらえ・・・・今までの不誠実を一気に清算してやろうと!いずれ俺は革命…
ハーモニーそのものが実はグルーヴなんだ、と気付いてしまいました。そう思うと、今までどうしてこのことに気付かなかったかが不思議なくらい。この話はいずれ・・・